2026年6月から薬局が変わるって聞いたんですけど、患者には関係ありますか?
大いに関係あります。簡単に言うと「病院の近くにある薬局がペナルティを受けやすくなる」改定です。患者さんが払う薬代にも影響する可能性があります。今日はなるべくわかりやすく説明します。
そもそも「調剤報酬」って何?
薬局でもらう薬には「薬の代金」だけでなく、調剤の技術料・管理料が含まれています。これを調剤報酬と言い、国が点数(1点=10円)で設定しています。
この点数が変わると、患者さんが窓口で払う金額も変わります。
2026年6月改定の2大トピック
トピック①:門前薬局等立地依存減算(15点)新設
一番わかりやすく言うと:「病院の目の前にある薬局はペナルティ」
対象になる薬局
- すでに薬局が多数ある地域に新規出店する場合
- 医療モール内に出店する場合
これらに該当すると、調剤基本料から一律15点(=150円)減算されます。
「病院の前の薬局」は便利ですが、そこにしか来ない患者さんだけを相手にして、地域医療にあまり貢献していないと国から見られることがあります。今回の改定はそこにメスを入れた形です。
患者への影響は?
| 状況 | 患者への影響 |
|---|---|
| 減算対象の薬局を使っている | 薬局側の収益が減るが、患者負担は直接変わらない |
| 薬局が経営を維持できなくなる | 閉店・移転のリスクがある |
| 選ばれる薬局が変わる | 地域密着型の「かかりつけ薬局」が優遇される方向へ |
トピック②:調剤基本料2の基準が厳格化
前回まで: 月2,000回超 かつ 集中率95%超 → 基本料2(低い点数)
2026年6月から: 月1,800回超 かつ 集中率85%超 → 基本料2(低い点数)
「集中率」って何?
集中率って何ですか?
その薬局に来る処方箋のうち、「特定の1つの病院・クリニックからの処方箋が何割を占めるか」の割合です。たとえば、ある薬局に100枚の処方箋が来て、そのうち90枚がA病院からだとすると、集中率は90%です。
つまり:「ほぼ1つの病院しか相手にしていない薬局」が当てはまりやすいということです。
基準が厳しくなるとどうなる?
| 旧基準 | 新基準 |
|---|---|
| 月2,000回超 + 集中率95%超 | 月1,800回超 + 集中率85%超 |
条件が緩くなった(=より多くの薬局が対象になる)ため、これまで基本料2に該当していなかった薬局も、今後は該当する可能性があります。
基本料2になると薬局の点数収入が減るため、経営への圧力が高まります。
実は患者にとっては「安い薬局」の場合も
門前薬局って患者にとってはどうなんですか?
正直に言うと、調剤基本料2が適用される大きな門前薬局は、患者さんの窓口負担が安くなるケースがあります。
調剤基本料の点数比較
| 区分 | 点数 | 1点=10円 |
|---|---|---|
| 調剤基本料1(一般の薬局) | 42点 | 420円 |
| 調剤基本料2(大型門前薬局など) | 26点 | 260円 |
3割負担の方であれば、基本料だけで約48円の差が生じます。
つまり「大きな病院の前にある、処方箋が集中している薬局」は、国からペナルティを受ける一方で、患者さんの窓口負担は安いという側面もあります。
ただし、基本料以外にも「薬学管理料」「調剤料」など複数の加算があるため、最終的な窓口負担は薬局ごとに異なります。「門前薬局=必ず安い」とは言い切れませんが、基本料の観点では安くなる場合があることは確かです。
※点数・加算の詳細は薬局により異なります。窓口負担の詳細はご利用の薬局にご確認ください。
なぜこんな改定が行われるの?
国が目指しているのは「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」の普及です。特定の病院の処方箋だけを扱う薬局より、地域全体の患者さんを継続的に管理できる薬局を評価する方向にシフトしています。
背景にあるのは:
- 医療費の増大:日本の医療費は年々増加しており、効率化が求められている
- 門前薬局への依存:病院の目の前にあるだけで経営が成り立つ構造への問題視
- 薬剤師の役割拡大:薬を渡すだけでなく、健康管理・服薬指導を担う存在へ
患者さんが今からできること
かかりつけ薬局を1つ決める
複数の薬局を使い分けている方は、1つの薬局をかかりつけにすることをおすすめします。
メリット:
- 薬の飲み合わせを一元管理してもらえる
- 薬剤師との関係が築ける
- 緊急時に相談しやすい
お薬手帳を活用する
かかりつけ薬局を利用し、お薬手帳をきちんと管理することで、薬の重複投与や飲み合わせのリスクを防げます。
実は「お薬手帳を持参すると薬代が安くなる」というルールがあります。手帳を活用することは患者さんにとっても、薬局にとっても、双方にメリットがあります。
まとめ
| 改定内容 | ポイント |
|---|---|
| 門前薬局15点減算新設 | 病院密着・地域偏在の薬局にペナルティ |
| 基本料2の基準厳格化 | 月1,800回超+集中率85%超に変更(対象が広がる) |
| 国の方向性 | かかりつけ薬局・地域密着型を優遇する流れ |
薬局業界にとっては厳しい改定ですが、患者さんにとっては「より地域に根差した、自分のことを継続して見てくれる薬剤師と関わりやすくなる」方向への変化でもあります。ぜひこれを機に、かかりつけ薬局を決めてみてください。
この記事は薬剤師による情報提供を目的としており、詳細な点数計算・経営判断等については各薬局・関係機関にご確認ください。